2018年7月17日火曜日

「未来を拓く ファシリティマネジャーの皆さまへ」発刊


 「未来を拓く ファシリティマネジャーの皆さまへ」発刊  
    公益法人日本ファシリティマネジメント協会(JFMA、山田匡通会長)が、「未来を拓く ファシリティマネジャーの皆さまへ」を発行した。
 ファシリティマネジメント(FM)の業務に携わる人々が、日々、直面する現場の課題や移転プロジェクト、そしてFMそのものの魅力について、さまざまな組織で活躍するマネジャーたちが執筆した。 JFMA、一般社団法人ニューオフィス推進協会(NOPA)、公益社団法人ロングライフビル推進協会(BELCA)のFM推進3団体では、ことし1月に「公式ガイド ファシリティマネジメント」を編纂。従来、教科書として使っていた「総解説 ファシリティマネジメント」と「総解説 ファシリティマネジメント追補板」を統合。9年ぶりに全面改定、刷新した。 
  その編纂過程で話されたさまざまなエピソード。テキストには盛り込められないものの、そのまま埋もらせずになんとか活かそうと、今回の本を企画。インハウスのマネジャーで組織するユーザー懇談会のメンバーたちが中心となり、JFMA教育研修委員会でまとめ上げた。
 B5判、126ページ。1冊1,200円(税別)。
 申し込みはJFMA事務局へ。

または
アマゾンからも購入可能。
https://amzn.to/2mYEaik





2018年7月8日日曜日

サクセスストーリーを作ろう

インタビュー

北海道ファシリティマネジメント協会
荒井和弘 会長
 北海道ファシリティマネジメント協会(HFMA、199社)の第5代目会長に就任。初の東京在住の会長だが、これまでも日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)と、HFMAとの橋渡しを担ってきており、道内での講演もこなし、北海道との縁も深い。これからのファシリティマネジメント(FM)と、北海道での取り組みについて展望を聞いた。
 ー資格制度とJFMAとの連携強化について
 全国ではいま、ファシリティマネジャーは1万4千人。国家資格者は最低でも3万人は必要とも言われ、現状ではまったく足りない。国家資格ということは、業務の独占を認めることにもなるため、仕事をするうえで資格者が不足しているというのは問題だ。
 もともと資格者制度をスタートさせるときには国家資格を予定していたが、いろんな経緯もあり実現できなかった。
  国家資格を目指すためには、JFMAの動きは大きな課題。HFMAとしても働きかけをしていくことも重要だ。
 役所のトップに理解してもらう必要がある。そのことについてHFMAはこれまで熱心に取り組んできていると認識しているが、JFMAにもお願いしてさらに、北海道内での理解を協力してもらえるよう考えている。
 ファシリティマネジャーは、もともと個人の資格。企業利益のためにマネジャーの資格を取らせるのではなく、結果の話だ。マネジャーがいたから企業の利益につながったという形でなければJFMAとの連携は難しい。
 マネジャーが増え、企業が動く、ボトムアップでFMのスキルを活かす社会を構築していくのが望ましい。
 アメリカなどは確実にそうだ。年月をかけ、経営手法の一つとなり、経営層の人たちがファシリティマネジャーになっている。予算を持っていたり、事業執行権を持っている。
 日本は残念ながらそのような形ではない。どこかでサクセスストーリーを作らなければならない。


 ーHFMAでは新たにまちづくり委員会をスタートさせたが。
 まちづくりでも良い事例が出てきているが、なかなか全国展開にはならない。どこかで、自分のところは違う、といった感覚がある。FMは範囲が広く、どこかでやってからといって、みんな同じにはならないが、基本的には最小限の投資で最大のリターンを生むのがマネジャーの職能だ。
 そのことを経営層が理解するのが重要だが、現実は、違う。アメリカみたいに副社長がFMの全権を持っている組織だと横串をさせるが、日本はいまだに縦割りだ。
 もう一つの課題は、役所の単年度予算性。これがFMに馴染まない。
 長期間のトータル投資が最小限になるためにどうするか。それを考えるのがFMだが、その発想にはならない。そのためには地方自治体では議会が重要だ。
  その点、北海道はいい事例になると思う。議会で承認して取り組んでいけるなど可能性は大きい。
 少子高齢化と税収の減少で、いままでと同じような行政サービスの提供はできない。箱物も景気浮揚対策にならないし必要もない。では集約化かとなるが、総論賛成各論反対になってしまう。皆がハッピーになることは難しく、どう不利益を軽減するかを考えなければならない。
 道内では、議員や自治体職員でファシリティマネジャーの資格者がいると聞いている。
 サクセスストーリーを作る。一人、二人じゃできないから、ネットワークを作り、HFMAがサポートする。そういう取り組みが今後、大切になっていくと思う。

 荒井和弘(あらい かずひろ)1944年生まれ。68年東京農工大工学部電気工学学科卒、大成建設に入社。営業総合本部FM推進室長、設備本部本部長(理事)などを歴任、2007年退社。東京不動産代表取締役常務技術本部長など経て、現在、顧問。建築設備技術者協会監事。JFMAでは企画運営委員長などを務めた。2018年6月、HFMA第6回総会で会長に就任。

2018年7月6日金曜日

FMに取り組むメリットを明確に〜荒井新会長

 北海道ファシリティマネジメント協会(HFMA199社)の2018年度第1回臨時理事会が3日、札幌市内の札幌第一ホテルで開かれた。荒井和弘会長は、産学官や日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)との連携強化を図りながら、社会や会員企業に対して「FMに取り組むメリットを明確にしていきたい」と述べた。特にファシリティマネジャーの国家資格化について中央だけではなく地方公共団体からの働きかけを積極的に取り組んでいく考えを示した=写真。

 
 荒井会長は、先月の総会で5代目会長に選出。今回が初のHFMA会合への出席となった。
 議題では、まず25周年記念講演会を1115日にロイトン札幌で開き、講師にJFMA会長でイトーキの山田匡通会長と、セコマの丸谷智保社長の2人を予定しているを報告。
 JFMAとの連携強化では、ファシリティマネジャーの国家資格化のため、関係省庁や道などの自治体に対する働きかけを連携を取りながら積極的に行なっていきたいとの説明があった。特に現在の国内の有資格者数が1万4000人と、国家資格に必要な3万人規模に達していないことを指摘。FMの周知とともに地方からも実現に向け積極的な働きかけを行う必要性を訴えた。
 現在、道内のマネジャーは約400人。HFMAでは3年後までに500人までに増やしたい考えで、併せて会員増強を図っていく。

 理事会終了後に、第1回まちづくり委員会が開かれ、メンバー紹介と今後の方向性について意見が出された。JFMA賞受賞歴のある街の視察などのアイディア、委員長を務める札幌副都市開発公社の高橋稔社長は「札幌市南区真駒内地区など民間動向などの動きもある。情報収集を進めながらFMとまちづくりの関連性について、出された意見も参考に、今後の方向性など絞り込んでいきたい」と述べ、次回以降本格的な議論を進めることにした。

2018年7月4日水曜日

官民連携で新たなスタイル〜増えるサウンディング

 官民連携で新たなスタイル〜増えるサウンディング

 道内も先月に3件
 PFIPPP事業など官民連携に取り組む全国の自治体で「サウンディング型市場調査」を実施するケースが急増している。事業構想の発案から事業化の段階において、民間企業の投資意向を「対話」を通じてヒアリングし、自治体だけでは難しい、斬新で自由なアイディアを盛り込む。日本PFIPPP協会(植田和男理事長)のまとめでは、17年度は前年度に比べ2・2倍の186件が行われ、18年度に入ってからも6月末までに同1・5倍の38件と増えた。道内では昨年から事例が報告され、累計で9件に留まっているが、このうち3件はことし6月に実施されている。さらに、これまでの市町村独自の取り組みに加え、国がサウンディング調査代行に乗り出しており、動きは加速している。


サウンディング調査実施件数:4・半期ベース
(日本PFI・PPP協会まとめから作成)


 この民間投資意向調査は、民間事業者との意見交換を行い、市場性や実現可能性などを把握するもの。具体的には事業メニューのアイデア収集をはじめ、行政だけでは気づきにくい課題や民間事業者の参入意欲、公募条件などを把握していく。
 もともとは、横浜市や神戸市らが先駆けとされ、大規模な自治体のみで実施される特殊な位置づけだった。しかしこの数年で状況が一変。中小規模の自治体が、サウンディングという民へのアプローチを開始した。
 取り組むメニューは、小学校の統廃合に伴うイノベーション、庁舎整備、道路や公園、駐車場など多種多様、規模も様々だ。
 自治体のサウンディング調査状況を取りまとめている日本PFIPPP協会の植田和男理事長は、急増する背景に、2つの理由を挙げる。
 1つは、自治体の財政危機に対して、国からのPFIPPPなど民活促進要請があったこと。もう1つは、少子高齢化に伴う小学校の廃校問題への自治体の対応だ。
 国は、15年に「多様なPPP/PFI手法導入を優先的に検討するための指針」を定め、翌16年には新たに10年間で21兆円規模の事業推進を目標にした「PPP/PFI推進アクションプラン」を決定。各省庁と人口20万人以上の地方公共団体で、優先的検討指針規定を16年度末までに策定100%することを要請した。
 その結果、ことし3月末段階で対象181団体に対して99・4%が実施。20万人未満の1607市町村において193%が策定している。
 1960年代後半以降に整備されたインフラの更新時期のピークがこの20年間のうちにやってくる。この状況は認識していた事実だが、国の「要請」が大きな後押しになった。
 少子高齢化は様々な課題に直面しているが、特に小学校の廃校問題は顕著だ。更地か、既存施設の再利用か、役所だけでは、その答は出せず、民に頼るしかない状況だ。
 小学校の扱いが起爆剤となり、それに公園など従来の官民連携ではなかった分野にも広まってきた。
 もともとは基本構想があり、その上で手法を整備するというプロセスだった。それが基本構想を立てる段階から民からアイディアを聞いてもいいのだという考えが地方に一気に広まった。公共事業の枠組みが変化してきている。新たなうねりだ。
 公共政策が新しい局面に入ったと、植田理事長は指摘する。民の力がなければ、公共FM(ファシリティマネジメント)において、コスト縮減にも新たな収入増にもつながらならない。
 もはや「公共マネジメントは、民が介在しなければ、成立しなくなった」という。
 道内自治体のこれまでの動きは、北海道の赤レンガ庁舎の保存調査、耐震改修について実施したほか、江別市の市営駐車場の跡地利用や旧江別小跡地活用、小樽市の旧祝津小学校の利活用、札幌市の石山南小跡地活用、公園屋外トイレの広報・仕様書、中島公園ほか3公園の活用、苫小牧市の仮称・市民ホール整備がある。
 また国交省が17年7月から9月まで、道内7空港特定運営事業に関係するマーケットサウンディングを実施。その結果、一括した運営委託を2020年に開始することをことし4月に発表している。
 サウンディングの実施は、今後もさらに増加するだろう。
 市町村に変わって国交省がサウンディング業務代行に乗り出したからだ。昨年は道外4地区だけに留まっていたが、ことしは9地区に拡大。札幌でも9月26日に実施する。案件の募集は、国交省が全国の都道府県を通じ市町村に対し既に開始、今月末まで受け付ける。