2018年8月14日火曜日

FMの理解は難しいか(雑感)

    このところ、農業、水産、医療、食と物流の関連業界に、ファシリティマネジメントの重要性を伝える機会が続いた。早い話が、専門業界紙や専門メディアに話を持ちかけたのだが、興味を示すところはゼロだった。
 なぜか。
 根本はおそらくこういうことだろう。
 個々のケース、企業にとって役立つ事例だとわかっても、それは業界全体の共通課題ではない。
 つまり、コアの課題ではないので、それぞれの業界の専門メディアでは取り上げるべきテーマではないのだと。
 だが、そこがFMのFMたる所以なのだ。
 わかりやすく言えばFMのF、ファシリティは、ノンコアの分野だ。ノンコアをマネジメントすることで、コアを支え伸ばす。だが、ノンコアだけを扱えばいいということではない。分離して考えるべきではない。ノンコアがあってこそ、コアがあるという図式を理解しなければ、失敗する。
 現状は、専門業界のメディアがFMをきちんと理解しようとはしていない。存在そのものにも気づいていなかっただけかもしれないが、ただそういうことだ。残念ながら、既存の専門業界メディには理解できないのだと、考えることにした。そう烙印を押した。まぁ、土壌ともいえる建設業界においても、似たようなものではあったが。
 ノンコアは、専門業界のコアではない。だが、専門業界の共通のノンコアだ。そのマネジメントは、その専門業界で成り立っている地域経済のマネジメントに繋がり、最終的には町や国、人々の生活にも関連してくる。ここに気づき、FMを取り入れる企業、組織は盤石だ。そうではいところは、外部勢力に飲み込まれていく。
 ならば、既存業界メディアは相手にはならず、直接訴えていくしか方法がない。つまりは自分でやるしか、やはりないのかと。

 ここで、関連する書籍の紹介をいくつか。

 図書館で、発見した本を、改めてネットで注文。以前に何度買っては売り払い、再三また探して入手することもある。読み終わってもまた読み返えしているものも混ざり、最近の同時並行して読んでいる本はこの5冊。
 けっして、企業のマネジメントの本だけではないが、いろんな面でFMのことを考えさせられる。
・森の昆虫誌〜北海道の自然を考える(1986年、坂本与市)
・自分の仕事を作る(2003年、西村佳哲)
・自然が正しい(2010年、モーリス・メセゲ)
・<インターネットの次に来るもの>未来を決める12の法則(2016年、ケヴィン・ケリー)
・デジタル・ジャーナリズムは稼げるか(2016年、ジェフ・ジャービス)
 最も新しく入手した本は、なんとこれらの中で最も古い「森の昆虫誌」。ダメ元でアマゾンで探して、発見した。新刊でなんて必要ない。こういう本は古本だからこそ、価値がある。届いてみると、しっかり書き込みもあった。
 著者の坂本与市先生は、観察力が素晴らしい。直接、先生の講演を聞いたこともあったが、ウイットに富んでいる。しかも示唆にも富んでいる。
 「北海道の自然を考える」という副題がついているが、坂本先生が伝えたかったのは、最後の章、ギシギシ=蓼を食う虫のことだと思う。
 
 最近、新刊本で買ったのに、いつもザックに入れてボロボロになっているのが「デジタルは…儲かるか」。
 ジャーナリズムは、読者や視聴者との二人三脚でありコミュニティのまとめ役、けっして立場は一般の人の上ではないと訴える。発刊当時に発見すべきだったが、遅すぎたとは思いたくない。
 「自分の仕事…」は、もう何度も読み返し、新刊を手放し、文庫で見つけ、何処に紛れてしまい改めて古本で買い求めたものだ。東京のファシリティマネジャーで元建築雑誌の編集者だった方に作者の西村さんついて話を聞いたことがあったが、デザインの人なのに、この本では「働き方研究家」の肩書がついている。
 読まれている方も多いとは思うが、どこぞの内閣が、必死に進めている名目だけのものとは違って、しっかりと地に足の着いたまさに様々な分野で活躍しているFM実践例でもある。


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